毛髪

パーマのメカニズムと毛髪が痛む理由

この記事ではパーマのメカニズムと毛髪が痛む理由についてまとめていきたいと思います。

毛髪の特徴を読んでいない方はまずこちらから↓
毛髪の特徴

1. パーマのメカニズム

パーマの原理を説明します。

現在最も多く利用されているパーマネントウェーブは、

コールド二浴式パーマネントウェーブです。

パーマ剤は1剤の還元剤(+アルカリ剤)と

2剤の酸化剤に分かれています。

ヘアカラーやブリーチでは1剤と2剤を混ぜて

その化学反応を利用していきますが、

パーマでは1剤と2剤をそれぞれ塗布して、

酸化還元反応を利用しています。

簡単に図1に流れを示します。

毛髪の特性でお話しした通り、

髪はポリペプチド鎖が

ジスルフィド結合によって共有結合性架橋を作っています。

バージン毛のうねりだったり、

ストレートだったりはこの結合の仕方によります(図1-1)。

まず、ロッドを巻いた毛髪(図1-2)に

チオグリコール酸を代表とする還元剤を塗布します。

そうすることで、ジスルフィド結合が解かれ、

チオール基(図1-3)になります。

またアルカリ剤は毛髪を膨潤させる働きがあります。

薬剤をキューティクルの内側まで浸透させる役割を担っています。

ここで次のステップに行く前に一度水で十分にすすぎます。

このことを中間水洗といいます。

その後、このポリペプチド鎖同士の結合が

切断された状態に2剤の酸化剤を塗布することで

ジスルフィド結合を再結合(図1-4)させ、

ロッドを巻いた形状をキープすることができます。

図1 パーマの仕組み

2. なぜパーマは痛むのか

まずはアルカリ剤です。

アルカリ剤により、キューティクルが開きますが、

その際に、キューティクルとキューティクルの境界に

存在するMEA(18-メチルエイコサン酸)が

多く失われてしまいます。

MEAはアルカリ剤に弱いんですね。

そして一度なくなるともう戻ってきません。

MEAは脂質ですので、健康毛では毛髪は疎水性です。

つまりパーマ後、髪は親水性になり、

以前より湿度に敏感になります。

これが見た目のゴワゴワにつながります。

また2剤はチオール基を酸化して

ジスルフィド結合にすることが目的ですが、

ジスルフィド結合をさらに酸化して、

システイン酸をつくることがあります。

これによりペプチド結合を開裂させてしまう

可能性があるのです。

すると枝毛や切れ毛といったダメージが起こります。

さらに、1剤と2剤の間のすすぎでも

ダメージは起きています。

1剤が毛髪内で飽和した後、純水ですすぐと、

強力な浸透圧勾配が起こります。
(緩衝液により、浸透圧勾配は著しく減少し、ダメージを抑えることはできます)

その結果が、毛幹の急速な変形(側面膨張と縦方向の収縮)であり、

そしてそれが中和後(還元したものを酸化することをこのように言うことがあります)も

全く緩和されず、

見た目にも明らかな永久的ダメージになります1)

これがパーマ後に髪がチリチリになる原因だっだのですね。

以上が今回私が調べたパーマについてのまとめになります。

やはり、アルカリ剤を使っている点では

ブリーチと似たダメージを得るんですね。

そして今回一番驚きだったのが、

中間水洗でもダメージが起きていたということ!

きっと、薬剤も進歩しているでしょうから

またの機会に中間水洗については調べてみたいと思います。

参考文献
1)デール・H・ジョンソン(山口真主訳)『ヘアケアサイエンス入門』(フレグランスジャーナル社 2011年)p207

 

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