毛髪

熱による毛髪へのダメージと対処法

ドライヤー

今回は熱による毛髪へのダメージとその対処法を考えていこうと思います。

1. 熱による毛髪へのダメージ

ドライヤーやヘアアイロンなどの熱により、

毛髪は日々ダメージを受けているということは

みなさんなんとなくご存じかと思います。

毛髪はケラチン、すなわちタンパク質からできているので、

あまり熱に強くありません。

また熱が毛髪に及ぼす影響は、

湿っているか、乾いているかで異なります。

1.1 髪が乾いている場合の熱によるダメージ

乾熱では、外観的には120℃前後から膨化が見られ、

130~150℃で変色が始まり、

270~300℃になると焦げて分解し始めます。

しかし機械的な強度は80~100℃で弱くなり始めます。

化学的には150℃前後からシスチンの減少がみられ、

180℃になるとα-ケラチンがβ-ケラチンに変わります①1)。

図1 α-ケラチンとβ-ケラチンの構造①2)

1.2 髪が湿っている場合の熱によるダメージ

湿熱では、シスチンの減少は100℃前後から見られ、

130℃では10分間でα-ケラチンがβ-ケラチンに変わります。

別なデータによれば、ケラチンの変性は湿度97%では

60℃から始まっています①3)

2. 熱による毛髪へのダメージを低減させる方法

毛髪が乾いた状態と湿った状態では、

条件が異なるので、

乾いた毛髪のセットを行うヘアアイロンと

湿った毛髪を乾かすドライヤーの場合を考えていきます。

2.1 ヘアアイロンで毛髪は痛む?

現在、販売されているヘアアイロンは温度設定できるものも多く、

200℃以上の設定温度にできるものもざらにありますね。

1.1で書いた通り、130℃から本格的な毛髪の熱変性が起こってしまいます。

これだけ聞いて、単純に設定温度を130℃以下にしたらいいのかと

私は思ってしまったのですが、違います。

ヘアアイロンは冷えた毛髪に熱を奪われるため、

設定温度から約50度下がるといわれています。

(もちろん、毛髪温度=設定温度になるまで長時間当ててたら話は別ですが…)

ですので、ヘアアイロンの扱いに慣れており、

手早くセットが行えるのであれば、170℃くらい、

まだ慣れてなくて、時間がかかってしまう人や

毛髪が痛んでしまっている人は

これより少し低めに設定して使用していただければ安心かなと思います。

低すぎて、まったく巻けなかったりして

ヘアアイロンを使う時間が長くなりすぎると

余計にダメージを喰らってしまう場合もあるので注意してください。

ちなみに誰もしないと思いますが、

湿った毛髪に直接ヘアアイロンは絶対にダメです。

(私はやってました…

乾かすのとヘアセット一緒にしたら効率良いかなと思って。涙)

2.2 ドライヤーで毛髪は痛まない?

現在、販売されているドライヤーは

ノズル付近での温度が100~120℃のものが一般的です。

シャンプー後の髪は湿度100%と考えられるので、

60℃から毛髪のダメージが始まると考えます。

なので、ドライヤーを至近距離で一点に集中してあてるとなると

毛髪にかなりのダメージを与えてしまうことになります。

しかしながら、みなさんドライヤーを使うとき、

そんなことしませんよね??

ドライヤーと毛髪までの距離はある程度取っているし、

ドライヤーのヘッドをフリフリしながら、

指やくしで毛髪をとかしながら行いませんか?

ちなみに、60℃の具体的な感覚は一般に

「だいぶ熱い。熱いけれども何とか触れていられる。」

くらいと言われています。

これが65℃になると、

「非常に熱い。数秒なら触れていられるが

あとで手のひらに熱さがジーンと残る。」

くらいになります。

毛髪を乾かしているとき、頭皮や指がここまで熱くなることは

そんなにないですが、

この指標を覚えていれば、毛髪に負担をかけることなく

60℃以下の状態で髪を乾かすことができます。

3. まとめ

・乾いた毛髪では130℃からダメージとなる。

・湿った毛髪では60℃からダメージとなる。

・ヘアアイロンもドライヤーも使い方を気を付ければ、

ダメージを低減することができる。

 

参考文献

①日本パーマネントウェーブ液工業組合『SCIENCE of WAVE revised edition』(新い美容出版株式会社 2014年)
1)p195
2)p180
3)p196

 

n*****************mさんによる写真ACからの写真