販売してある商品の謳い文句としてよく使われている無添加ですが、
実際のところ無添加の何がいいのか私自身よく分かっていませんでした。
そこで、無添加商品でよく聞く以下の添加物について安全性を検証していきます。
①合成界面活性剤
②合成ポリマー
③パラベン
④防腐剤
⑤紫外線吸収剤
⑥エタノール
⑦法定色素
⑧合成香料
⑨シリコン
⑩動物性由来原料
今日は合成界面活性剤について調べていきます!
1. 合成界面活性剤について
まずは、界面活性剤について簡単に説明します。
界面活性剤は油や水など混ざり合わない物質の間で双方に働きかけ、
界面の性質を変えることで混じり合わせることが
できるようにする物質のことです。
界面活性剤には大きく分けて下記の4種類です。
陽イオン界面活性剤
陰イオン界面活性剤
両性イオン界面活性剤
非イオン界面活性剤
それぞれ特性が異なるので、用途に応じて選ばれて使用されています。
そして、合成があるので、もちろん天然のものも存在します。
しかし、自然界に存在する界面活性剤は不純物など
害があるものを含むもの、無安定なものもあり、
化粧品に使用されるものは人間が作り出した合成界面活性剤や、
加工・精製された天然界面活性剤であることがほとんどです1)。
2.2 合成界面活性剤の何が悪い?
まずはネットでいろいろな声を調べてみました!
・PRTR制度で“人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質”に指定されている合成界面活性剤もある。
・手荒れや、かぶれの原因となる。
・皮膚などのたんぱく質を壊してしまう。
など、主に人体と環境への影響を懸念するものでした。
PTPR制度とは人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質が、
どこから、どれだけ排出されているかを知るとともに、
化学物質の排出量や化学物質による環境リスクを減らすためのものです。
現在このPTPR法に第一種指定化学物質されている合成界面活性剤は、
以下の9種類(化学物質名と商品に表示されている名称は異なる場合があります)
存在します。それぞれ理由も示します。
●直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩
(アルキル基の炭素数が10から14までのもの及びその混合物に限る。)
→生態毒性(魚類及び甲殻類)2)
●N,N−ジメチルドデシルアミン=N−オキシド
→生態毒性に区分されていますが、
現時点では環境中の水生生物へ悪影響を及ぼすことはないと判断しています2)。
●ドデシル硫酸ナトリウム
→生態毒性3)
●ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル
(アルキル基の炭素数が12から15までのもの及びその混合物に限る。)
→生態毒性(ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(C=12-13):甲殻類,ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(C=14-15):甲殻類)2)
●ポリ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム
→生態毒性3)
●2−アミノエタノール
→生態毒性(藻類)2)
●エチレンジアミン四酢酸
→変異原性、生態毒性(藻類)2)
●ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル
→生態毒性(魚類)2)
● ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル
→生態毒性(魚類)2)
第一種指定化学物質とは…
次のいずれかの有害性の条件に当てはまり、かつ、環境中に広く継続的に存在するもの
・人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼすおそれがあるもの
・その物質自体は人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼすおそれがなくても、環境中に排出された後で化学変化を起こし、容易に上記の有害な化学物質を生成するもの
・オゾン層を破壊するおそれがあるもの(オゾン層破壊物質)
・・・環境省のデータによると、
すべて生態に影響を及ぼす可能性のあるものでしたが、
健康への影響は小さいとされるものばかりでした。
ドデシル硫酸ナトリウムと
ポリ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウムについては
詳しいデータが参考文献の2)にのっていませんでした。
何故だろう・・・
ただし、皮膚への刺激性については個人差が大きいのも事実です。
環境省のホームページには詳しいデータがなかった、
ドデシル硫酸ナトリウム(別名:ラウリル硫酸ナトリウム)ですが、
私はこれの入ったシャンプーを使うと痒くて痒くて仕方ありません。
ドデシル硫酸ナトリウムには、たんぱく質を強力に変質させる性質があります。
また分子が小さく残留性が非常に高いので現在あまり使用されなくなってきています。
合成界面活性剤が悪く言われだした原因といっても過言ではない合成界面活性剤です。
しかし最近では、代わりにラウレス硫酸ナトリウムという
合成界面活性剤を見かけることが多くなりました。
名前は似ていますが、ラウリル硫酸ナトリウムよりも分子を大きくしたもので、
残留性もカバーされ、たんぱく質変性作用も小さくなっています。
2.3 合成界面活性剤についてまとめ
PTPR制度で第一種指定化学物質とされている界面活性剤が、
すべて合成のものであることや、
実際に生態毒性が疑われていたり、
人によっては、皮膚への刺激性を感じるものもあるため、
まとめて合成界面活性剤はよくないという
意見がでていることが分かりました。
しかしながら合成界面活性剤は全部で2000種類以上存在に、
PTPR制度に引っかかっておらず、
肌への刺激性も小さなものもたくさんあります。
逆に天然界面活性剤も肌への刺激が強いものもあります。
なので、界面活性剤で大事なのは、合成か天然かではなく、
どのような物質が使われているかのようです。
その他の添加物についても少しずつ調べてまとめていこうと思います!
参考文献
1)かずのすけ 白野実 『美肌成分辞典』 株式会社主婦の友社 p62
2)環境省『化学物質ファクトシート』
http://www.env.go.jp/chemi/communication/factsheet.html(最終閲覧日:2020年4月14日)
3)環境省 『PTPRインフォメーション広場』
https://www.env.go.jp/chemi/prtr/archive/target_chemi.html(最終閲覧日:2020年4月14日)